年下彼は手強いのです,
第8章 想像以上に暖かい、腕に

*溶解イノセンス


§



――放課後。


「さよーならー」


最近のクラスは塾通いのメンバーが多くて、放課後は塾の宿題をするみんなでごった返している。所謂受験生ってやつ。


「真尋?どこいくの?」


ちなみに祐李も塾メンバーで、わたしが荷物を持たずに出ようとしたことを不審に思ったらしい。


「サッカー部に」

「用事?」

「……登駕」

「伊沢、ね」


頑張ってきなよ、とだけ言って、祐李はテキストに視線を下ろした。


わたしは後ろ手でドアを閉めて、グランドへと駆け出した。


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