heart to heart ふたりのキセキ
今できること-side律-
【side律】

柚希の状態が
あまり思わしくない。

何もかも分かってしまうのも辛い。

入院した日。

新しく主治医になった
吉岡先生から言われたこと。


「わかってると思うけど…
 正直、厳しいと思う。
 そろそろターミナルのことを
 考えたほうがいいかもしれない。」


ターミナル。

死への準備ってこと。

わかってるつもりだった。

でも、いざとなると、
わかってないことに気付いた。

わかりたくなかった。


「とりあえず今は肺炎の治療と
 心不全のコントロールが先決。
 だけど、いずれ…」


耳を塞ぎたい。

でも、
向き合わないといけない。



救命と循環器、呼吸器が
集まって行われる
重症症例の検討会。

そこに柚希の名前が挙がる。


「前回のエコー所見と比べて
 EFも相当落ちていますし、
 アミオダロン中止の影響は
 かなり大きいと…」

「だからって再開するわけに
 いかないからなぁー…」

「ステロイドパルスの効果は?」

「多少は改善しましたが…」

「「…。」」


誰も意見しない。

諦めてるのが見え見え。

「ま、とりあえず胸水抜こう。
 呼吸悪いんでしょ?
 道重柚希さんは以上。
 次はー…」

どうしたらいいんだ?

しょせん研修医のオレには
何もできない。
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