君の色




――ガラッ

「失礼します」

南智が保健室に行こうと言って
歩きだしてから数分。

「あら。2人そろってどうしたの」

神崎先生だ。
若くて美人と評判。

「ちょっと…」

さすがに言いづらいのか黙ったままの南智。
こんなとき何にも言えない自分が
もどかしい。

「…そっか。言いづらいか。少し休んでく?」

助かる。
こういうときに空気の読める先生は
ホントにありがたい。

「はい」

南智は俯いたまま答えた。
神崎先生は俺の方をむいて
悠司くんも?と聞いてきた。

「あっお願いします」

「ははっ。そんなに緊張しなくてもいいのに」

やっぱり、と思った。
緊張しすぎて手がふるえてたくらいだ。

「じゃあ、そことそこのベッド使って」

先生はそう言って左が1つ目と2つ目のベッドを指差した。

「はい。ありがとうございます」

俺は南智の方をむいて手をだした。

「行こう」

ここからベッドまでの距離で手を繋ぐなんてバカバカしいと思うかもしれないけど
今の俺たちにはちょうどいいんだ。

「うん」


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