AZZURRO
「やめておけ。」

身を乗り出した雪乃の体を
強靭な腕が強く抱きしめた


「このあたりは海流も早い
それに
肉食獣がウヨウヨいる。

落ちたとたんに餌食になるぞ。」



ブレイクの言葉に
雪乃はおとなしく
身を戻した


「そんなに焦らなくても
あの皇子様は必ずお前を助けに来るだろう。

あぁ、それから
女官の事なら心配するな。

急所は外してるし
アイツの癒しの力ならすぐに回復する。」


さっきとは打って変わって
穏やかな話し方

「…ケシャは助かるの?」

思わず言葉が漏れた


「やっとしゃべったか。」
黄金の瞳がゆっくり雪乃を捕える


その瞳は
今にも消えそうなくらい儚げで
切なくて


雪乃の胸を締め付けた



この人は…

一体…?

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