AZZURRO
「…悪いとは思っている。」


素直に負けを認めたクリス
だがジャンの表情は崩れることはない


「悪いと思ってるのなら
貯まっている仕事と皇帝陛下への弁解など
カイルについたら馬車馬の様に働いてくださいね?」


ね?
の部分に目には見えない圧力を感じ取れた


「…わかった。」


「素直ですね。」


「素直になるしかあるまい。
それと…
ユキノについてだが…」


「認めかねます。」


クリスの言葉をさえぎるように
ジャンは言葉を重ねた

その行為に
豆鉄砲を食らった鳩の如くクリスは顔をしかめる


「まだ何も言っていないだろう。」


「言わなくてもわかります。

クリス様のお気持ちは重々承知しておりますが
ユキノ様との事に関しましては…
先を考えると…家臣として認めかねます。」


「先…か…。」

クリスはどこか遠くに視線を向ける


「ユキノ様をご所望される場合のリスクは
クリス様ご自身が良くお分かりのはずでは?

ましてやユキノ様は存在自体が不確かな御身。
突然異世界に帰られる事もあるやもしれません。」
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