AZZURRO
開けた視界の先には
もうムヒデリの姿はなかった


朝日の差し込み始めた
朝露に濡れた草の中

飄々とした顔で
ジャンがクリスの元へやってくる



「精神が破壊してしまいました。
…しばらくは使い物にならないしょう。」


「それで…何か得られたか?」


「…コレをごらんください。」


ジャンが差し出したのは
パチンコ玉くらいの透明な玉

それを見て
しばらく考えたクリスだが
突然
ハッとしたようにその透明な玉を
手のひらに乗せて

差し込む朝日に当てる


すると
透明な玉を抜けた光が

クリスの手のひらに

模様を写しだした


「…水瓶…?」


クリスの手を覗き込んでいた
雪乃はその模様に首をかしげる


その様子を見たジャンが
雪乃に説明した


「大神殿のほかに
カイルには
四人の女神を祀った
四つの小さな神殿があります。

この水瓶は水の女神の象徴で
カイルの北にある小さな地下神殿の
紋章でもあります。」


「…そして
この水晶は特殊な作りで
神殿を治める者にしか与えられない。
神殿には決まった者しか入れないように
結界が張ってある。

ムヒデリが自力で
これを手に入れることは不可能だ。」


ジャンに続いてクリスが付け加える

「じゃあ、
まだ黒幕がいるってことですか?」
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