AZZURRO
「ユキノ様…。」

ジャンが耳打ちする

「どうかショールを深くかぶり
素顔の露出はお避け下さい。

その象牙色の肌は目立ちますゆえ。」


「は、はい。」


雪乃はあわてて
頭かショールをかぶり
顔も目以外は隠した


市街地は
活気にあふれ
市場は人でにぎわっていた

裏路地には
洗濯物が干してあったり

子供たちが遊んでいたり

かまどで火をおこすお母さんの姿も見え

この国が
平和であることが証明されている


石畳の道はなだらかな上り坂になった

「ユキノ様、ごらんください。
あの城壁に囲まれた丘の上からが
上流階級の居住区です。

一番外側の城壁の中は貴族の居住区

二番目の城壁の中は皇族の居住区

そして
奥の三番目の城壁の中が城で
その最奥部が皇帝陛下と皇后陛下のの居住区です。」


ジャンの説明を聞きながら
城壁をくぐって行く

大通りから細い坂道の石段が家々の入り口までつながっていて
どの家にも中庭があり
全ての家が数階建てだった


だが
二番目の城壁をくぐると
景色は一変した
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