気付いたら、悪魔の腕の中。



 「お前さ、結城はいいのか」



 「何よ、急に」



 結城がタマに手を出すのは、腑に落ちない。俺がいちかと付き合ったのは、間違っていたのかもしれない。




 「慶と付き合ってたのは、親のためだよ」


 親のため、か。





 「ふーん。まっいいけど。…俺、帰るわ」



 「ちょ!悠詩!?」


 俺は追ってくるいちかを振り切って、早足で学校を出た。




 今日は大事な日だ。誰にも邪魔されたくない。








 雫が俺の世界からいなくなった日なんだ。


side悠詩__________end.


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