気付いたら、悪魔の腕の中。



 「…環、大丈夫か?」


 耳元で聞こえた声に少し安心した。




 このまま、結城くんを好きになれば…全部、まるくおさまる。




 「結城…くん、あたし、」






 好きになりたい、あなたを。


 そう言おうとしたが、ひどく眠気に襲われあたしは意識を手放してしまった。












 「…環、」




 ふわふわとした意識のなかで、あたしの名前を呼ぶ声。


 きっと結城くんだよね。






 「…た、ま…」







 え…?

 結城くん?そんなに声低かった?

 結城くんの声じゃ、ない。


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