アネモネ


(彰SIDE)


――――――‥‥


「おい、彰」

「‥」

「‥彰!」

「なに」

「もう2限終わったぞ」

「だから?」

「戻るぞ」

「なんで」

「‥はあ」




紫音が走り去って約2時間。

俺はその場に両膝を抱えて、そこに顔を埋めて座り込んでいた。



2限も顔に出さないのが珍しかったのか、
海が息を切らしながら俺のもとに来た。


「彰‥」

「俺さ、他の女の子には言えるけど、紫音には何にも言えない」

「‥うん」

「好き、とか言ったことねえんだ」

「‥ああ」

「今更、過ぎた。」

「分かってんなら、直せばいいだろ」

「でも、紫音は戻ってこねえよ。」



きっと、紫音はやり直すチャンスの理由さえ考えようとしていないだろう。



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