学生さん
 ――その予定。だけど英米文学の原典は欠かさず読むつもりよ。それがあってこその英語だから。


「そう……」


 謙太が電話であたしと会話をしながら、疲れを休めているらしい。


 彼は相変わらずサークル活動に嵌まっていて、あたしのように真面目に勉強するつもりはないようだ。


 一応一年先輩だから、同じ修士課程で一緒の授業に参加することもある。


 だけど謙太は学問以外の活動に没頭するつもりでいるようだった。


 あたしは図書館から必要な文献を借りてきたり、ネットで見られる部分はネットで見たりして、訪れる年度に備えている。


 これから最低でも二年間、大学に残りたければ五年間、ずっと学生生活を続けることになるのだ。


 あたし自身、確かに学部時代は気が楽だった。


 先輩たちの書いた研究論文を読んで、事実関係に関して頭の中で整理すればよかったからだ。
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