magnet


「え、何?」


「何でもねぇです」


フイッと顔を背けながらも頭をぐしゃぐしゃと撫でてくる。


まるで、掴まれた部分を擦るように。


「……」


「……」


「一応心配してくれたんだ?」


ピタリ。と動きが止んだ。


「心配くらい、させてください」


え、あれ。


「あ、頭でも打った?」


「これっぽっちも打ってません」


「だよね」


無意識に触れられた頭を触る。


熱、持ってる。




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