モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
双子、戸惑う

史上最悪な事が起きた。

高校二年生になった今日、クラス名簿を見て愕然とした。


同じ苗字が縦に二つ並んでいる。


(なんで、海と同じクラスなんだよ・・・)

どうしよう、どうしよう。

そればかりが脳内をぐるぐるとまわる。


一年の時はクラスは別々だからよかった。

接点なんてひとつもなかった。

だから双子だってバレなかったし、

見るからに違う容姿と性格のおかげで俺と海が家族だなんて誰も、

微塵にも思わなかった。


(なのに・・・)


ちらりと横を見れば半径40メートルほど先に、メガネをかけて、

前髪はうざいくらい長く、クセっ毛のせいで髪の毛がボサボサの姉がいた。

友達はきっと0だろう。


今まで誰かと遊んでいるところなんて見たことない。

違う意味で、彼女は遊ばれている。


遥は正直どうでもよかった。

イジメを受ける原因を作っているのは海自身だと思っているからだ。

(見た目を気にしない海が悪い)

仮にも、自分と双子なのだから素材は良いはずだ。

どうしてあそこまで地味で根暗で地味で地味になってしまったのかが理解できない。



「よっ!遥!」

「健二じゃん。おはよ」


高校でできた友達が話かけてきた。

名前は川崎健二(かわさき けんじ)

俺と同じ剣道部で、結構仲が良い。


「また同じクラスだな!」

「うん。秋(しゅう)達も一緒だし、よかった」

「だなっ!・・・ってか、アイツもいるじゃん!」

「アイツ?」

「ほら、お前と同じ苗字の・・・筧うみ!」

「あー、マジねえわ」

はあ、と遥は大きくため息をついた。

それを見て健二は笑う。

「あんな奴と同じクラスで授業受けたくねえよなー」

「そうだな。」

遥は海を、なるべく視界の中にいれないようにしようと誓った。

(俺は関係ない)

たとえ海がイジメられようと、

なんの関係もない。


大丈夫、きっとうまくいく。


遥は健二と他愛ない会話をしながら新しいクラス2-Aへと向かった。

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