モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


*


「・・・遥君。」

一方、病院の一室で理子はベッドで眠る遥を見つめていた。

「佐々木、あとは任せていいか?」

「はい。」

八木の言葉に理子は頷いた。

「頭から出血していたが、外傷はそれほどひどくなかったらしいし

他は捻挫と打撲だけで軽傷だから大丈夫だろう。医者もすぐに目を覚ますと言って

いたし。」

「・・・大丈夫だと、いいですけど。」

理子は心配そうな表情を見せる。

そんな彼女を見て八木は理子の肩を軽く叩いた。

「先生は合宿所に戻るよ。遥が目を覚ましたらすぐに連絡をくれ。」

「わかりました。」

八木がでていく。

シンと静まりかえる病室。

理子は膝の上でぎゅ、と拳を握った。


(まさか、こんなことになるなんて。)

少しの罪悪感が胸を締め付ける。

(いや、でも、筧さんの方が悪いわよね。)

自分が、壊れている自転車を海に教えたことを言うのが怖い。

責任を負いたくない。

しかし、海が余計なことを言えばバレるだろう。

(遥君が怪我するなんて・・・。)


「んっ・・・。」

「遥君!」

理子は遥に呼びかけた。

彼の瞳がゆっくりと開く。

「っ・・・、海?」

ぼんやりと、そうつぶやいた。

ズキン、と理子の胸が痛む。

「違うよ、理子だよ!」

「・・・理子、」

はっきりと目を開き、そしてまっすぐと彼女を見た。
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