モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
ギシ、
ベッドのスピリングが軋んだ。
ドクン、ドクン、
ダメだとわかっているのに理子の体は勝手に動いてしまう。
「遥くん、」
もう一度、彼の名を呼んだ。
ここで目を覚ませばおとなしくあきらめるつもりだった。
「すう、すう、」
規則正しい寝息しか聞こえない。
理子は、自分が大胆な行動にでていることを自覚していた。
震える手をベッドに置き、体を支える。
彼女はゆっくりと顔を近づけた。
(遥君は絶対にあたしを好きになってくれない。
なら、これくらい・・・許してくれるよね。)
開いている窓から、ふわりと風が吹き理子の髪を揺らした。
「・・・、う、み。」
一瞬だけ、両想いにさせてほしかった。
ただ、それだけなのに。
遥の口からでたのは違う人の名前。
きゅう、と胸が締め付けられる。
数センチで唇が触れ合う距離で、理子は再び涙腺が緩んだ。
ぽたり、
遥の頬に涙が落ちた。
*
「海、」
「わ、わかんない。」
一方、冬樹は真剣だった。
けれど海は逃げようとする。
そんな彼女に痺れをきらし、冬樹は再び追い詰め腕を掴んだ。