モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


ギシ、

ベッドのスピリングが軋んだ。

ドクン、ドクン、

ダメだとわかっているのに理子の体は勝手に動いてしまう。

「遥くん、」

もう一度、彼の名を呼んだ。

ここで目を覚ませばおとなしくあきらめるつもりだった。

「すう、すう、」

規則正しい寝息しか聞こえない。

理子は、自分が大胆な行動にでていることを自覚していた。

震える手をベッドに置き、体を支える。


彼女はゆっくりと顔を近づけた。


(遥君は絶対にあたしを好きになってくれない。

なら、これくらい・・・許してくれるよね。)


開いている窓から、ふわりと風が吹き理子の髪を揺らした。


「・・・、う、み。」


一瞬だけ、両想いにさせてほしかった。

ただ、それだけなのに。

遥の口からでたのは違う人の名前。

きゅう、と胸が締め付けられる。

数センチで唇が触れ合う距離で、理子は再び涙腺が緩んだ。


ぽたり、

遥の頬に涙が落ちた。


















「海、」

「わ、わかんない。」

一方、冬樹は真剣だった。

けれど海は逃げようとする。

そんな彼女に痺れをきらし、冬樹は再び追い詰め腕を掴んだ。


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