モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



*

「遥たち大丈夫かなー。」

場所は学校。

健二は机に頬杖を突きながら、冬樹につぶやいた。

「命に別状はないんだから、大丈夫だよ。」

一日に何回同じこと言えば気が済むんだよ、と呆れたように言った。

しかし、合宿で起きた事件を知っているのは剣道部とそのマネージャー、

そして教師達しか知らない。

公表にすれば騒ぎになると察したからだ。


「だって、気になるだろー。目の前であんな状況見ればさ。」

「・・・まあね。」

冬樹は気にしていないふりをして、内心は凄く心配をしていた。

見舞いにも何回か行ったが二人は目を覚ましていない。


「早く目を覚ませばいいけどな・・・。」

「川崎!冬樹くんっ!」

慌てた様子で教室に入ってきたのは理子だった。


「今先生に聞いたんだけど、二人が目を覚ましたらしいのよ!」

「マジかよ!」

「帰りに様子を見に行かない!?」

「おう!今日は丁度部活ないしな!」

冬樹も行こうぜ!と健二は声をかける。

彼は うん と頷いた。



「・・・あと、ね。」

「なんだ?」

急に声のトーンを落とし、深刻そうな表情をして理子は口を開いた。

「海ちゃんか遥君のどちらかが、別の教室に移動するって話・・・知ってる?」

「「は?」」

意味が分からないという表情を見せると、理子は身を乗り出し、小声で言った。


「さっき先生たちが校長と相談してるの聞いたのよ。

本当かわからないけど・・・あの二人、何かあるんじゃない?」

理子は双子だと知っているが、あえて自分からバラすような真似はしなかった。

「何かって、遠い親戚だろ?」

それ以外に何があるっていうんだよ、と健二は考える。


「わからないけど・・・調べてみる価値はありそうね。

急に教室移動だなんておかしいもの。」

「・・・俺も、調べてみるよ。」

冬樹は言った。

それを聞いていた健二が不満そうな表情を見せる。

「なんか、探るみたいで嫌だな。」
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