モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
「お、遥。もう腹いいのかよ。」
「うん、治った。」
「よかったな!ってか、もう体育終わるし。」
体育館に戻ると健二が心配してきてくれた。
時計を見るとあと一分くらいで体育の時間が終わる。
「ほんとだ。」
その言葉とほぼ同時にチャイムが鳴った。
「遥、治ったんだ?」
「ああ。」
冬樹が よかったね、と笑った。
そして、遥にしか聞こえない小声で、
「・・・本当はどこいってたの?」
と言ったのだ。
これには遥は驚き、大きく目を見開いて彼を見る。
「は?どこって、保健室・・・。」
「なんてね、冗談だよ。」
にこ、と笑顔を見せる冬樹の表情が偽りのような気がした。
「・・・・。」
自然と彼に警戒心が湧く。
「教室戻ろうぜー」
健二の声に頷き、遥は戸惑いを隠せないまま教室へと移動を始めた。