モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
(俺、もしかして海の事・・・)
「筧、もういい。座りなさい。」
見かねた教師が遥にそう言い、座らせた。
海が心配そうに振り向いてくる。
彼女の顔をまっすぐ見ることができない。
気づいてしまった。
自覚すればするほど、心臓がうるさく騒ぐ。
(・・・どうしよう。)
遥の眉間に、しわが寄る。
そんな彼の様子を見た海が、自分のノートの端を少しちぎると
そこにメッセージを書いて誰にもバレないように後ろへと渡す。
遥は不思議そうにそれを見た。
<大丈夫?>
たった一言、それだけ書かれていた。
遥の胸が苦しくなった。
「・・・っ、」
海が、好き。
だから冬樹に嫉妬したり、
海を変えると言っておきながら
誰にも見せたくなかったりしてたんだ。
彼女の素顔は自分しか知らない。
けれど、それは現時点でしかない。