モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
それははっきりと、部屋の外の海にも聞こえていた。
「・・・え?」
どくん、どくん。
心臓が不規則になりだす。
(嫌われた。)
ぽっかりと胸に穴があいたような感覚になった。
ぽたり、ぽたりと瞳から涙がこぼれだす。
(なんで?)
今、海の頭の中には冬樹の事なんか入っていなかった。
(遥、)
遥でいっぱいになる。
何も考えられないくらいに彼の事でいっぱいになり、
苦しくなる。
「ごめっ、なさ・・。」
自分が何に対して謝っているのかわからない。
ただ、苦しかった。
今まで、こんな感情は抱いたことはない。
この感情の名前さえ知らなかった。
海は重い足取りで遥の部屋を後にし、自室に戻っていく。
そしてベッドに倒れこみ、枕に顔をうずくめて泣いた。