シュークリーム
あぁ……。


なんて安っぽいプライドなんだろう……。


この恋を邪魔していたのは私の中にいる自分自身じゃなくて、村上君や世間体を気にして手放せなかった“プライド”だったんだ。


それは、すごく安っぽくてちっぽけで、笑えるくらいにつまらないもので。


大切なことを見失ってまで守るものなんかじゃない。


それなのに、私はそんな簡単なことすらもずっとわからずにいた。


いつの間にか零れていた涙が止まらなくなったのは、そのことに気付いてしまったから……。


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