十人十色~君の声を聞かせて~
「薪城さん、わたしは職員室に行ってくるから、寝ててね?」
「……はい」
これもひとつの気遣いかもしれない。
ホントに、良い人だ。
ひとりになってから、初恋の人が頭から離れなかった。
あれからわたしは、1歩も踏み出せてない。
あの人は、前に進めたのかな……?
怖くて恋ができない。
心の奥の、しまいこんである思い。
それを、中途ハンパな気持ちで恋ができないなんて。
正当化して、取り繕って。
わたしは本当にアホで、弱虫で、臆病だ。