十人十色~君の声を聞かせて~
「……うたしちゃんは、辛い過去を抱えてるんだね」
突然、横井はそんなことをいった。
わたしは黙って聞く。
「どんな過去なのか、どんな経緯なのか……俺は一緒にいたわけじゃないから、わかんないよ……でも」
「…………」
「少なくても俺は、今のうたしちゃんが好きだよ」
その、言葉。
今までとの好きとはちょっと意味が違って聞こえたその言葉。
いや、今までと意味は同じかもしれない。
ただわたしが、理解しようとしなかっただけ。