☆ハイローハート
「ミスタードーナツってはじめてきたわ」

MJの発言に、あこと二人でおののいた

「コーヒーとオーレが飲み放題やから、お得やで」

「お得かどうかより、飲みたい物を飲むからご心配なく」

……なんか、アタシがものすごく損得勘定で生きてるみたいやん?

アタシは大好物のポンデリングとフレンチクルーラーにオーレ
あこは期間限定モノとオーレ
MJはウーロン茶だけを注文した

レジ前でMJがカバンから取り出した財布がオーストリッチで、またもやあこと二人でビビリまくる

アタシ達が二階席の角に座ると、MJは汚いものをみるかのような目で椅子を眺めてから不服そうに座った
まだ彼女が片手に持っているオーストリッチの財布が気になって仕方ない
それをあこが聞いてくれた

「ねえMJ、その財布さァ……まさかとは思うけど、人を占って稼いだ金で買ったの?」

「何か問題でもある?」

しれっと認めたMJに、またアタシ達は顔がひきつった

フレンチクルーラーを食べながら、「何占いが得意なん?」と聞くと、ウーロン茶の入ったグラスの汚れを点検するかのように見ながらめんどくさそうに答えるMJ

「得意な占いとかは特にないわ
相手のお好みよ
それよりもMJって呼ぶのはヤメ」

あこが「マジでMJに占ってもらうつもり~?めっちゃうさんくさいじゃーん」と本人を前にしかも相手の言葉を遮って遠慮なく言い放つ

「うさんくさくても需要があるのよ、どうしてかしら」

……黒光りする黒髪、バランスのとれた涼しい顔と鋭い視線がこちらに向けられると、何故かひんやりとする

二人して言葉を失っていると、MJは「で、何を占って欲しいの?」と声色を変えた

「やっぱ……恋占いで」

「まあ、それしかないわよね」

わかってるなら、聞くな……ッ

あこがニヤニヤ笑っている

「しかも最近その男に彼女ができて~、その女とうまくいくかどうかもついでに占ってもらえば?」

アタシはあたふたとあこに身振り手振りで「べ、別に、人のモンなんか欲しくないし……」と取り繕う


< 114 / 756 >

この作品をシェア

pagetop