☆ハイローハート
マンションのエントランスにおりると、すでにあこが立っていた

エレベーターのドアが開いて足音が聞こえると、いつもパッとこっちを見て「おはよう」というあこが、今日は何も聞こえていないみたい


「おっはよ」


と声をかけて、上を向いたあこの顔に腰を抜かしそうになった

「どーしたんっ!!これ!!!」

「……男と別れた」

「なんでそれがこーなるんっっ」

あこがカバンに手を突っ込むと真っ二つに折れた携帯を手のひらに乗せる

……

「めっちゃバイオレンスな彼氏やな……」

「元彼ね」


あこの手が持っているチャリキーを奪うと「アタシが今日は乗せてあげる」と伝えた


同じ自転車なのに、漕ぐのと後ろに立つのとでは景色が違う

「朝マック……食べたいなあ」

あこが「……いいね」と同意してくれた


「行こか」

「行っちゃう?」

「MJ捕獲する?」

「捕獲しちゃう???」

「そうとなったら、いつもより一本はやい電車のろっ」


と、アタシは自転車をこぐスピードを速めた


加速しながらどんどんと人を追い越していく

「昔さあ、ソーセージエッグマフィンを二個頼んだら、ソーセージマフィンとエッグマフィンが一個ずつ出てきてな……
仕方ないから交互に食べてソーセージエッグマフィンっぽくしてん」

「あ、そう」


……反応うすっ

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