☆ハイローハート
夏が終わって秋の雰囲気が漂い出すと、どうしてこうもセンチメンタルな気分になるんだろう


ナルはあきちゃんとデートしたりしてるみたいだけど、これといった決定的な進展もせず……

だけど俺に気を遣ってチャコちゃんの話は出さない


さやかとは付き合って半年

部活以外の時間を埋めるためにはじめた焼肉屋のバイトのおかげであんまり会わない日が続いてるけど、それをずっと続けていても仕方がないのはわかってる


部活が終わって、いつものようにとよきを待つ

「理一、俺腹減ったからコンビニ行ってくる」

「んじゃ、俺も行く」

とナルと二人で学校の近くにあるコンビニに向かった


校門を出て曲がるとバイク2台と柄の悪そうな男が四人道に座っていて、それを避けていく



「西田理一だろ」



通り過ぎた後に背後からそう言われて振り返ると男が一人しゃがみこんだまま俺を指差していた

俺より少し先を歩いていたナルがこっちを見て「理一、誰?」と聞いてくるから、俺は首を傾げた

……誰だっけ??


「ち・や・こって知ってるだろ?」

一文字ずつ区切って言われてピンとこない

「チャコって言った方がわかるか」


すっかり忘れかけてた名前


一人が立ち上がるとこっちに向かってきながら「あれ、俺の妹」という言葉と同時に殴られて、グラリと視界が揺れた

……頭がクラクラする

胸倉をつかまれて学校の裏側の神社に引きずられていった


「ちょっとちょっとーッ」

と、こんな時でも軽いナルの声が後を追ってくる

あの日、チャコちゃんに「もう会えない」と伝えた大木の下に来ると、背中を蹴られて木にぶつかった


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