☆ハイローハート
お昼まで時間を潰し、昼休みに乗じて学校に登校した

午後の授業は2コマ

枝毛を探している間に、終わる


放課後、あこの席の横に立ち「帰るん?」って聞くと、周囲におんぷマークを飛ばすくらいの笑顔を見せられた


「デート♪」

「ふ~ん、ほんじゃ、アタシは帰るかな」

「駅まで一緒に行く」


とぴょんっと立ち上がって、アタシと肩を並べた


あこは違う方面の電車に乗り、アタシは電車を降りるとぶらぶらとマンションへの道程を歩く

ここ数日、改札をくぐると待ち伏せされててうんざりしてたけど、さすがに今日はいなかった

今朝の噂は多分一瞬で学校に広まっただろうし、良くも悪くも理不尽なケンカをふっかけられることはもうなさそう


かばんを持ち直すと、マンションから一番近いコンビニに入った

雑誌の星座占いと別冊マーガレットを立ち読みし終えると、ふと横の棚に目をやった

わわっ、ミナミの帝王……っ

見つけて嬉しくなり、思わず手にとって開く

こってこてでいまどきこんな関西弁しゃべらんやろ~みたいな関西弁でもやっぱり親しみがわいてきて、ニマニマしながらページをめくっていると、おっきなスポーツバッグを持った人が後ろを通ってぶつかっていく

さほど痛くもないけれど「イタッ」と呟くと、どかっとバッグを置いた男が少年雑誌に手をのばしているのが見えた

「女子高生がミナミの帝王立ち読みしてニヤついてるって、変だよかなり」


……確か同じマンションの、理一


「銀ちゃんはアタシの心の恋人やねん」

「ははっ、悪趣味~」

「銀ちゃんを馬鹿にしたら金貸さんから」

「トイチの利息で金借りねーよ」


……自分だって読んでるやん

アタシはミナミの帝王を棚に戻すと、お弁当コーナーへと向かった

適当なお弁当とペットボトルのジャスミンティーを取って、近くにあったかごに入れると今度はお菓子コーナーへ向かう

キシリトール配合の飴もぽいっとかごに入れた


レジでお会計していると、理一がアタシの後ろから少年雑誌をレジ台に置いた

「買うの?」

「うん、俺が買ったらどうぜナル達も読むし」

「ふ~ん」



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