☆ハイローハート
気持ちは焦るのに、何一つ動けない

この絡まる感情から俺が逃げ出そうとしているから、よけいにこんがらがるんだろうか

いっそ、委ねてしまえば……
きっとラクなんだと思う

何が不満??

よく自分に問いかける

あんなにかわいいって思ってたし
実際めちゃくちゃかわいいし

階段から降りる時、落ちないようにつなぐ手の柔らかさも
彼女がうごくたびに香ってくるすっかり慣れた彼女の香水も
子犬のように見上げて笑ってくる表情も

俺が自分の気持ちにフタをすれば何一つ問題はないんじゃ……


彼女の定期検診につきあった帰り

仰々しいギプスがとれて、シップと包帯だけになって動かしやすくなった腕をさやかは嬉しそうに見ていた

この怪我が完治する頃、俺はどう答えを出すんだろ……


「俺、さやかを送ったら今日はもう行くね」

「何か用事あるの?」

「うん、ナルととよきが地元の駅のミスドで待ってるからさ」

「え!さやかも行きたい」

「え??」

「さやかもドーナツ食べたい……ダメ??」

「ううん、いいよ」

「やった♪」


ちょうどミスドの前でとよきとナルと遭遇して、俺らは店内に入った

「さやか、席取ってて」

「うん、さやかDポップとアイスティね」


彼女が行ってしまうととよきが「あこ来るぞ」と俺に言った

うん、だろうな……

様子をうかがうようにさやかの方を見ると、子連れのお母さん達が集まっている近くの席のテーブルをくっつけてこぢんまりと座っていた


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