☆ハイローハート
あこは「いないよ」と即答する

「なんで?」

「モロは好きな人いないもん」

「モテそうなのに」

「モロの事を好きな男はいっぱいいるけどね」

とあこはさやかの顔を正面から見つめている


とよきは意味深に俺に目をやるし……

「俺も、みさきのことチョ~好きなのに、全然相手にしてもらえないんだもんな~」

ナルが泣きまねをしながらそう言うと、「ふ~ん」とさやかは納得いかなそうな返事をした

「あの子、大人っぽいからおじさんにモテそうだと思ったけど、
同年代にもモテるんだ……
種田くんも、かわいいと思う?」

「別に」

「じゃあ理一くんは??」


……え??
俺にも聞くわけ??


「もしかわいいって思ってても、自分の彼女の前で他の女を褒めるほど理一はデリカシーのない男じゃないよ」

とあこがため息をついた

「そっかぁ、理一くんやさしいっっ
理一くんはさやかに“さやかが一番タイプ”って言ってくれたもんね~」

気まずさが半端じゃなくて、「そうだっけ?」とあいまいな返事をしてしまった

「外見が好みでも中身が伴わなきゃね
写真見て満足するだけならいいけど、外見だけじゃ付き合えないし」


あこがそう言った瞬間に、電話が鳴り響いた


「あ、MJだ……」

とあこは席を立つ

さやかが俺の顔を見ながら「中身が伴わないって、さやかの事かな?」と言うから、焦って否定した

「一般論だよ、一般論」

「そうそう」とナルも同調してくれる

しばらくするとあこが戻ってきて「近くにMJがいるみたいだから、アタシ行くね」とカバンを持つと、とよきも立ち上がった

「とよきも行く?」

「ああ」

「じゃあさやかちゃん、またね」

あこが行ってしまうとさやかも「帰る」と立ち上がったから、妙な解散になってしまった



< 342 / 756 >

この作品をシェア

pagetop