☆ハイローハート
ナルが俺を見て「何、この二人ケンカしてんの?」って聞いてきたけれど、俺は首を傾げた

とよきからは何も聞いてない

みさきはあさってを見ているから、何か知ってるっぽい


「なんだよなんだよ、仲直りしちゃえよ~
お前らがそんなだったらつまんねーじゃん!
なんかわかんねーけど、とよきあやまっとけ」

ナルが言うと、とよきはぶすっと目を細めた

「何に怒ってるのか俺にいわねーから、わかんねーんだよ
なのになんで俺が謝らなきゃいけねーの??」

「怒ってないって言ってるじゃん
ちょっと距離置いてるだけ」

「なに一人で勝手に距離置いてんだよ」

「ダメなの?」


この二人のケンカ、どっちも折れないから……


「なんで距離を置こうと思ったのか話し合おう」

あ、俺今すっげーいい事言ったんじゃねえ??


「急激に冷めるんだよね
世の中に男なんてくさるほどいるんだから、アタシ好みの男なんてそこらへんに転がってるだろうし
わざわざもめてまでとよきと一緒に居ようと思わないだけ」


こいつ、男怒らせる天才か

天才なんだな??


「どうせ俺はお前にお付き合いしていただいてんだもんな
わかったよ、今までどうも」

とよきが立ち上がったから、みさきが「えっと、あのな、とよき」とフォローしようとしているけれど

「俺がコイツとの将来を考えてても、コイツは俺と別れること考えてんだよ
アホらし……」

「将来って……」とみさきが言いかけた言葉もきかずにとよきは部屋を出て行ってしまった


カブとサリーは空気を察知してさっきから部屋の隅に退避していたけれど、親愛なるとよきが出て行って残念そう


「とよき!!ちょっと……」

とナルが慌てて追っていった

俺はみさきとあこの顔を見比べてゆっくりと立ち上がる


「せめてなんで冷めたのかくらい言ってやれよ」ととよきを思うと苦しくなって、あこにそう言った

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