☆ハイローハート
どこでリサーチしてきたのか、ゆりかちゃんは俺の事をよく知っている

昨日校門前でお得意の待ち伏せ攻撃を受けて「先輩、明日のお誕生日、何が欲しいですか?」と聞かれた

……欲しいものはないし

買ってもらったり何かを貰う道理もない

と答えを言いあぐねていると、横にいたナルが「今度ある県予選の応援に友達つれてきて盛り上げてよ!」と助けてくれた

「あ、そうだな、うん、それがいいかも」

と俺も乗っかると、ゆりかちゃんは拍子抜けしたように「そんなのでいいんですか?」と小首を傾げた

(う~ん)と考えるように腕を組むと、そこに巨乳がのる

俺とナルは思わず目をパチパチさせてしまったんだけど、とよきだけはどこ吹く風だった

この間みさきからカブのことを聞かされてから、とよきは日中ほとんど放心状態

何にも興味を示さない


「わかりました
じゃあ、絶対応援に行きますね♪」

「うん、パンチラで相手の選手惑わせてね」


とナルがいうと「やだ小林先輩、そんなことできませんよぉ」とゆりかちゃんが笑った


9月3日に日付がかわる0時

鳴ったメールはさやかから


“お誕生日おめでとん”のデコ絵がでかでかと出て「お誕生日は家族とパーティ?それともいつもの三人組?」と書かれてあった




ピアノの音が余韻を残して一曲終わると、みさきは俺から目をそらして……

つないだ手をテーブルの下に隠してしまった


やばい

ムードに流されて、俺……「好き」とか言い出しそう


今言っても、断られることは目に見えている

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