☆ハイローハート
「アタシがいじめられてるんじゃないかって最初は気にかけてくれてた先生」

MJは眉を少し寄せている

「必要以上に触られたってだけで、最後まではしてないから」

っていうのは、事実


アタシはため息をついて、困ったように笑った

「新しい学校では、そんなこと絶対隠してようと思ってたのに、隠し事ってできひんもんやな……」

「それは、隠さなくてもいい友達ができたからなんじゃないの??」

とあこに言われて、「そ……っか」と納得がいく




「国坂くんみたいに、アタシの事を“女”ってだけじゃなくて、“諸岡みさき”で好きになってもらったのは初めてで……
すっごいウレシかってん」


「そう」とMJは自分のことのように喜ばしい顔をしている


「だから大切にしようと思ってたのに、……昨日理一に……
理一に……“恋をしたのははじめて”って言われて……めっちゃ揺らいだ」

「へえ、アイツそんなこと言ったの?
まあでも、恋をしたのははじめてなんじゃない??
アタシもそうだと思うよ?」

とあこに言われて、また気持ちが揺らぐ



「好きになってもらえるのって、すごい嬉しくて……
どうしたらいいのか、わからへん」



国坂くんのひたすら優しく扱ってくれる手も、強引にアタシをひっぱる理一の手も

どっちも離したくないよ


二人とも、好きなの


一瞬目が熱くなって、慌てて手のひらでこぼれそうな涙を拭いた


「エ、MJのせいや
MJが理一に“優しくしろ”とか教育するから」

とごまかすように言うと、「え?そこで私のせいなの??」とMJがぬるいお茶をすする音がした


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