☆ハイローハート
ほんの少し気温が下がった夕方

二学期になって席替えした席からは校門に続く道が見える

帰り支度をして、あこ達とこれからどうするか話しているとちひろが小銭を机の上にチャリーンと置いた


「こないだの週末は楽しかったね
まさか終電なくなったことにも気付かず話し続けたのは驚いちゃった」

「あれは……しゃべりすぎだわ」


とMJは反省している


「これ、モロに借りたタクシー代
ありがとうね、助かった」

「いいえ」

ちひろの置いた小銭を財布に入れていると、窓の外をのぞいたちひろが「あれ、理一くんじゃない?」と目を大きく開いた

「うそ?」

とアタシ達がちひろの見ている方向を見ると確かに理一が落ち着きなく立っている


「モロ、理一と約束してたの?」とあこに聞かれたけれど、そんな約束をした記憶はない

ケータイを見てみても特にメールは受信していない


「とにかく行ってみよ」


とアタシ達はカバンを持って教室を出た


「この学校までわざわざ来るのは、モロかあこを待ってるんじゃないの?
まさか私に占ってほしいってわけじゃないでしょう」

MJがそう言って「今日は石持ってこなかったわ」と嘆いている

うん、もう、理一に石を売るのは諦めようよ……


「あ、うん、や、でも、まさか……」

あこが何かを思い出したように言いかけては止めて、眉を寄せて考え込んでいる


「どーしたん、あこ」と聞くと

「いや、アタシ達以外にもこの学校に知り合いがいないわけじゃ、ない……か、な、
んー、どうかな?」としどろもどろ

校門が近づいてきて理一が立っていたあたりに目をやると、アタシと一緒の制服を着て髪をアップにした女に腕を触られながら親しげに話している姿が目に飛び込んできた



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