☆ハイローハート
この人達のおかげで、一気に病室内が夜の商売臭

大きなゾウのキーホルダーがついた車のキーを持って「じゃあね~」と出て行ったちづるさんと入れ違いに入ってきた男二人は、スーツを着ていて病院関係者ではないことが明らかだった


「ナースに確認したら少しだけなら話すことができるといわれたのですが、娘さんにお話きかせてもらってよろしいですか??」

「ええ、構いませんけど……みさきは大丈夫?」

「うん」


アタシに話が聞きたいってことは多分、警察

あの部屋で何があったか

……欠片を思い出すだけでも気分が暗くなって、アタシはヨーグルトを食べることなく白いトレイを押しやった


「思い出すのもツライと思うけど……いいかな、ちょっと」

おじさん刑事が優しい感じで語りかけてくる口調がわざとっぽい

別に幼児に話しかけてるわけじゃないねんから、そんなに演技しないでほしい

こっちに全く比はないし、むしろできればあの男の罪が重くなればいい


「みさき、ママはもうお店に行かないとあかんから行くわ」

「うん」


母親は忙しそうにバッグを持ってドア付近に立っている


店、店、店

いつもそう

熱を出そうが、台風がこようが、娘が警察に取り調べされようが


それは全部、店と店にくる客の次


はなから頼りになんかしてないけど……


「あ、そうそうみさき、もしあの家引越したいなら早めに言って
次のマンション探すから
あと、ボーイに電話見といてもらうから、何かあったらいつでもケータイにかけてきてね」


そういってまたヒールの音を響かせて病室を出て行った

来るときよりも早足でその音は遠のいて行く

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