☆ハイローハート
「じゃあ、本当に行くよ

あ、違うな」

違う?

「家の前まで送っていく」


マンションまでの短い短い距離

一瞬のエレベーター

気付けば、家の前


やっぱりやっぱりやっぱり


「アタシ、国坂くんといて、すっごい幸せで楽しかったから」

「うん、俺も」

「国坂くんとの思い出、一生大切にするからね」

「ありがとう」


気持ちは伝えなきゃ、伝わらない


アタシが未来へすすむため

国坂くんが幸せをつかむため

アタシのこの気持ちをステップにして、飛び立つの


そうすれば、いつだってこの恋は素敵な思い出で


いつまでも二人にパワーをくれるはず


そうなりますように




「じゃあ、行くよ」

「うん」


心配だから先に家に入ってといわれてアタシは玄関に入ると、「ありがとう」と微笑んで

……ドアを閉めた

すぐ靴を脱いであがる気になれずドアスコープをのぞくと、国坂くんが廊下の柵から下をのぞきこんでいる背中が見える

それから数十秒?一分近く彼はじっと下をのぞきこんで……思い立ったように顔をあげると去っていった

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