☆ハイローハート
モロがくすくす笑っている

潜めた声

きっとものすごく顔を近づけて話してる、あの二人


モロが『……スキ』というと、今度は理一が……


『キツネ』


…………


モロ「ネズミ」

理一「みさき」

モロ「キス」

理一「スキ」

モロ「キツネ」


はいはい


ねずみ、みさき、キス、スキ、キツネ……


って聞いてられるかッッ!!


とよきが止めようとするのを振り払ってドアを半分開けたところで、理一ママがアタシの服のすそを引っ張った

だって、こんな無限ループのラブラブしりとりいつまで聞いてりゃいいのよ!!

半開き状態のドアの前で3人、無言で揉み合うこと数秒


あの、アホみたいなむかつくしりとりを……っ邪魔しないと気が、済まないっっ!!


とあがき続けてハッと気付くと、いつのまにかしりとりの声が聞こえない


そのことにとよきとママも気付いたみたいで顔をあげると、モロは体を折り曲げて理一に頬を寄せるように枕に突っ伏していた


理一は点滴につながれた腕を持ち上げて栗色のふわふわの髪を優しく一度撫でたあと、モロの頭を自分にくっつけるようにぎゅっと抱きしめた


さっきまで真っ白だった病室内に夕日の強烈なオレンジが差し込む時間

だけど今日はなぜか淡い色に染まる

甘い匂いすら漂いそうなピンクオレンジ




もらい泣きしそうな、「恋の行方」……の巻




< 707 / 756 >

この作品をシェア

pagetop