☆ハイローハート
手続きの細かいことはわからないけれど、最初からいつもアタシの担当をしているのはおじさん刑事と若い刑事の二人組

毎回必ずどちらかがアタシの応対をして、少しだけ気遣いの言葉をかけてもらって終わる


「書類関係で警察にきてもらう必要はもうないかな
事件が事件だからこれからまだまだ大変だろうけど、困ったことやわからないことがあったらいつでも来てくれていいから」


おじさん刑事は室内でもトレンチコートを着たまま

なんか、ドラマみたい

気付けばここに来てから二時間近くたっていて、再び警察署の小奇麗なエントランスをくぐると外はもう真っ暗だった


駅に向かって歩いていくサラリーマンの流れに乗って歩く


大きな企業ビルの下に並ぶ手入れされた花壇に腰かけたOLが、シャツのボタンを一つあけてネックレスをつけていた

仕事モードから、夜遊びモードにシフトチェンジ?

ピンストライプのシャツがきれいに体にそっていて、膝丈の細みなスカートからのびる足もエナメルのパンプスも……高級そう……


ストレートの髪を無造作に片側に寄せる仕草も色っぽくて


あんなOLになりたいな


と思わずじぃっと見ていると、相手がその視線に気付いたようにこちらを見た

きつそうな目がアタシの視線を不愉快そうに跳ね返すからドキリとする

目を腕時計に向けたその女性の首を飾るネックレスが街灯に一瞬だけ反射した


ダイヤモンド……かな


いいな、ネックレス



アタシは自分の首に手をやって、何もついていないそこを確認する

落としたのは隣宅での事件の時だと思う

なくしたことに気付いたのは退院してから


ネックレスはずっとつけっぱなしといってもおかしくないくらいだから……

駅前にドンと構える百貨店を見て(寄り道しよ)と少し速度をあげた


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