腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-
◆あなたの不運に乾杯
「ん~良い気持ち」

 その青年は駅から降りて伸びをした。

 青年の名は向井 時弥(むかいときや)。

 170㎝と小柄だが鍛えている事が窺える。

 ここは岡山の奥。

 観光客などまったく見かけない町──彼はここの住人ではない。

 有名な温泉街も無ければ名所も無い。なのに何故、彼はここに……?

「ん?」

 時弥は駅の近くに駐めてあるワゴンを少し覗いた。

 彼は好奇心が旺盛なのだ。

 本当に何の気無しに覗いただけに過ぎなかった。
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