腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-

*実は脱がなくても凄いんです

 空が明けてゆく──時弥(ときや)は静かに目を開けて薄暗い外を見つめた。

「……」

 胸の中で眠っている少女の頭を見下ろす。

 このまま相手の人数が変化しないなら行動に出てもいいかもしれない……多少の怪我はやむを得ないだろう。

 寝ていたので体はまだちゃんと動かない。仕掛けるなら昼間か。

「ン……」
「!」

 そんな事を考えていると少女が目を覚ました。

「おはよう」
「あ、おはよう」

 縛られて倉庫にいなければ普通の挨拶だ。

 否、時弥の笑顔が縛られている事など忘れさせてしまいそうなほど爽やかなのである。

「よく眠れたかな?」

 眠れる訳がない。
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