腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-

*盟友?

「ご苦労様です!」

 制服警官が杜斗に敬礼する。

 理絵たちは駆けつけた警官たちに手錠をはめられパトカーに詰め込まれた。

「杜斗!」
「!」

 別々に事情を聞かれていた時弥が心配そうに杜斗に駆け寄る。

「怪我は……」
「かすっただけだ」

 ハンカチで縛られている腕を一瞥して応えた。

「俺を庇ってくれたんだよね……ごめん」

 すまなそうにつぶやく時弥を見下ろし口を開く。

「別にお前のためじゃない」
「え?」

「たまたま動いた先で弾が当たっただけだ」

 フン……と鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

「……」

 時弥はポカンとしたが、杜斗はそういう人間なのだと小さく笑った。
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