あんたとあたし。
TWΘ









「はぁ―――っ。」


 さっきから指定された店の前で入ろうか、入らまいか、行ったり来たりを繰り返すあたし。

 町の中心街を少し行った裏通りにある、居酒屋。

 料亭みたいな感じで、きれいな外観のその店には、「料龍」と彫られた看板がかかってた。

 あたしみたいな子供が入っていい感じには見えなかった。明らかに。

 入りにくいとかそういうのじゃなくて、雰囲気的に?年齢的に?

 
 今夜は、そう。彩が行けといった、あたしの苦手な従兄が組んだ、合コン。


 
 学校から、家にも帰らずにそのまま着たから制服のままだし。別にいつもよりもメイクを頑張ったわけでもない。

 なんだか、申し訳ない気分になって、入れない。
 

「あーもー。帰ろ。」


 わけわかんなくなって、来た道を戻ろうとしたら。


「あ、留衣ちゃ~ん。」

「・・・げ。」

< 34 / 129 >

この作品をシェア

pagetop