First love~awaikoi~
二つ三つ、バス停を数えている間に、

結構すいてきて、ホッとした。

―――どこにいるのかな、あの人?

立っている人の間をすり抜けて、

奥の方へ入っていこうとすると、

ガクンとバスが揺れた。

座っている人の上に倒れそうになって、

何とか窓に手をついた。

「すみません!」

「やぁ、君か」

目の前―――すごい近くに、その人の

顔があった。

「あ・・・・・・。どうも」

私は真っ赤になった。自分でも、

ほかの人から見たらおかしいと

思ったけど、どうしようもない。

「風邪ひかなかった?」

と、その人は言った。「座るかい?」

「いいです!」

と、私はあわてて首を振った。

「いつもなら、座れないんだけどね。

今日は目の前の人が早く降りて」

と、その人は言った。

「今日はいい天気だね」

もう、夕暮れが過ぎて、夜になっていた。

「あの・・・・・・この前はありがとうございました」

バスの中は、以外にうるさい。

少し大きな声を出さないといけなかった。

その人は首を振って何か言ったが、私には

聞こえなかった。ちょうど、次のバス停を知らせる

アナウンスが流れている。

うるさいなぁ!

もう少し静かにできないのかな。

私は、イライラしていた。

「―――今日は遅いね」

とその人が言った。

「はい」



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