桜色を覚えた絵

洋平と手を繋ぐことが嬉しいのは、小学生の途中からお母さんやお父さん、お姉ちゃんや友達と手を繋がなくなっていたからだ。

優しい温もりを指先が覚えているから、結衣たちは好きな人と手を繋いだ瞬間嬉しい分切なくなるのだと思う。

子供の時には普通だったことが歳を重ねるとできなくなって、それが蘇る瞬間隣には大切な人がいることがすべて。


それは恋愛ではなくて結局家族になるから、自分たちはいつだって家庭を望んでいるのだろう。


どうしてか、恋人と二人桜の中に浮かんでいた。

だって、桜色しかない――……


< 36 / 42 >

この作品をシェア

pagetop