鋭い抱擁

「お昼、食べないの?」

私が俯いたのを落ち込んでると勘違いしてか、心配そうに私の顔を覗きこむ。

申し訳なくなって、私はハッと顔を上げた。

「食べる。」

「そう。1人?」

「うん。」

「一緒に食べようか。」

「うん。」

1人で食べれないわけじゃないし、いつも1人だけど。今日はこの人と食べてもいいと思ったんだ。あまりにも笑顔が綺麗だから。


他人に間違えられた記念。

またすぐに憂鬱な日々に帰るから…。


「陽!お前また授業サボって昼飯だけ食いに来たのかよ!」


"陽"って名前か…、いい名前。


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