涙空
3空

ついに当日。
この日は雪の降る寒い日だった。
あたり一面、真っ白で、まさに銀世界だ。


目的地の公園に着くと、一旦止んでた雪が、また降り出した。

「さむいんやけどぉ!なんで今更、雪降んねん!」
大声で叫ぶ凌眞。
「膝とか、さすってたら温かくなるよ?」

「さする元気もないけんっ!」
相変わらず大声で叫ぶ。
車も人も見当たらない。
そのせいか、凌眞の声が一段と響き渡る。
なんか、凌眞を独り占めしているようで、会話が ぎこちなくなる。

そのとき、凌眞がつぶやいた。
 

   ~「俺の気になっとる人は、松下菜々!」~

堂々とした声が、頭の中を真っ白にさせる。

「お前しか、好きじゃない。」


  恋に落ちる音がした。
   
  そんな気がした。

そのあとの会話は、よく覚えていない。

たった一瞬で、私をある意味、狂わせたから。



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