私の恋and事件簿♥
「主任、よろしければお酌させて下さい」



勅使川原さんがビール瓶を持ちながら、私たちの前に来た。

「体調、大丈夫?」と、私を見て来るも、シカトした。

私はそんなに出来た人間ではないから。



「ビールは来るから良いや」



兄貴は私の頭を撫でながら、やんわりと断る。

勅使川原さんは「そうですか?」と、ビール瓶を置いた。



「それにしても、山下君には驚きましたね。素直じゃないのは知ってますけど、あんなはっきりと“愛しの彼女ではない”なんて」



突然、北斗の話を暗い声で話し出す勅使川原さん。

でも、表情は嬉しそうで、私は兄貴の腕をギュッと掴んだ。
< 190 / 330 >

この作品をシェア

pagetop