愛しているから、さようなら!【BL】

「これでいい?」

「うん、ありがとう!」

にっこり笑ってそういう彼は、
僕の首元へと顔を埋めようとした。

「ちょっと待って!」

慌てて顔を掴んでブロックする。

「駄目?」

「それよりも、何するつもりなの?」


「キスマーク付けんの」

「何で?!」


「……練習?」

小首をかしげて言う。
別に可愛くないよ。



「あれってさ、意外とつけにくいらしいんだ。知ってた?」

「知る訳無いよ」

だよなー。うんうんと、彼は頷いている。


「だからさ、練習させて?」

「……自分の腕にでもすればいいんじゃない?」

「いや、全然皮膚の感じが違うじゃん」

だから実際にやってみたいのだと、
彼はそう言った。


「他に頼める相手居ないしさ、な?」

また、お願い。と。
今度は苦笑しながら言った。

困ったような眉と、
少し端の持ちあがった唇は
ほんのちょっと年嵩に見えて、
カッコいいと思ってしまう。

僕が彼のその顔に弱いのだと
どうか知られませんように。

< 26 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop