親愛なるあなたへ……
プロローグ
「ハハハ!!」

学校でよくある教室の風景。

「フゥ~~」

このため息をつく一人の男は主人公の西園寺 陸。

「俺ってどうして皆と仲良く出来んのかねぇ~~」

と、思っていたことがつい小声で出てしまう。悪い癖だ。

(ま、一人の方が楽やし……)

そう思っていくしかなかった。そんな時……
「浮かない顔してんなぁ~~」

そういって突っかかってきたのは小、中、高と同じで、なんとも腐れ縁な幼なじみの溝部隆志

「普段からこんな顔なんやけど……」

冷たくあしらう。こいつは俺が考え込むと必ず現れるからな。

「まぁ、なんかあるならいつでも相談しろや」
そういい、教室を出ていった。

いつも冷たくするのになんだかんだで心配してくれている。

(悪いな。心配かけて……)

そう思いつつ廊下にあるロッカーへ教科書を取りに行った。

チャイムが鳴りそうだったから急いで教室に入ろうとしたその時…。

バン!知らない女子にぶつかった。

「いったぁ~~い!」
髪が長くて、目がパッチリした同じクラスのマドンナ的存在の高瀬 愛里がそういって

「西園寺くん~、ごめん!」

謝って、自分の服装を整えているその姿が、妙に輝いて見えた。

「いや、俺も悪かったな」

それだけ言って何も言わなかった。

「西園寺くん……少し暗いんじゃない?」

余計なお世話だ。そう思った。

「そう?まぁ普段からこんな感じやから」

「ふ~ん。西園寺くんって~~よく見ると……」

(なんだよ…そんな顔近づけんなよ…)

心でそう思いながら

「な、何だよ……?」
「カッコいい顔してんね!!」

(え??)

「え?何て?」

つい聞こえてないふりをした。

「なんでもなぁい!」
そう言って教室に入っていく後ろ姿を、呆然と見ていた……。

キーンコーンカーンコーン……。

何かが始まった気がする。
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