ブルーローズ ~私が死んだ理由~
8.交換日記
 学校を休むようになってから、私の生活は一般的な“不登校児スタイル”へと変化した。昼夜逆転はもちろんの事、風呂は外出日以外は1日置きで、24時間パジャマに寝ぐせ頭で過ごすのが日課になっていた。
 初めは家族が世間体を気にする人だからと、日中は隠れて生活していたが、理由の半分は服装でもあった。1日中パジャマ姿でウロウロしては、自分の家のように無言であがり込む親戚らを前に何度か逃げ遅れた経験から、常に人の足音を警戒し、予め玄関にカギをかける事を覚えた。
 それでうっかり元に戻すのを忘れ、別館から母屋へ来た祖母を怒らせたり、家族は宅急便が来ても隠れて出て行かぬ私に、度々「お前はいても何の役にも立たないな」と非難した。
 学校には時々顔を出したが、母は私が「明日は行く」と宣言して行かないと、「初めから行く気なんてなかったんだろ」と、すぐになじった。
 峯山の印象はあまり良いものではなく、1年の時も風邪で激しくセキ込む生徒を前に、
 「そのセキ、もう少しどうにかならんか」
 うるさくて授業にならないから、セキが我慢出来ないなら教室から出ていけと言わんばかりの態度で、彼が担任だとわかった時も悪評ばかり耳にした。
 その日、私は朝から徹夜同然で登校し、目を開けているのもやっとという状態で、久々の登校に自分が日直当番である事に全く気付いていなかった。その際、緑を見ると目が休まる事をたまたま思い出したため、身近にある緑…黒板をやや睨みつけるように見ていた時、事件は起きた。
 「何だ、その目つきは!!」
 驚いて一瞬で目が覚めた。不良とは程遠い気の弱い私が、教師にガンを飛ばすわけがない。明らかに誤解だった。
 クラスメート全員の痛い視線をあびながら散々注意されたあげく、日直として職員室にチョークを取りに行くよう命じられた私は、そのままカバンを教室に残し、泣きながら家に帰った。
 すぐにかかってきた電話も彼は誤解を認めようとせず、講義する私達に最後まで「日直が嫌で睨み、帰ったんだ」として、1年間、私を日直当番から除外する事を勝手に決めてしまう。
 彼ら教師から見れば、不登校も不良も同類なのかもしれない…

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