ブルーローズ ~私が死んだ理由~
12.大嫌いな友達
 高校生活も2年目に突入し、私は里奈・圭子と同じクラスになる。それは、再び不登校にならないための、教師の計らいだった。
 しかし、圭子の存在が私を孤立させる。私達は表向き“仲良し3人組”、実際は2対1に分裂で、“1”はいつも私と決まっていた。
 体育の準備体操は、圭子が里奈にだけ「一緒にやろう」と、けして「3人で」とは言ってくれない。私は1人何も出来ず、靴紐や髪の毛をいじっては、体育教師に「どこかに入れてもらえ!!」と注意されても、
 「ちょっと待っててね。先に里奈ちゃんとやっちゃうから…笹生さんはその後ね」
 それを信じて待っていても、「もう、みんな終わっちゃったから」と、結局、相手にしてもらえない。
 おまけに、体育教師はいつまでたっても名前を覚えてくれず、「ササキ」だの「サソウ」だの言って、私も最初のうちは「ササオです」と訂正していたが、何度言っても間違われ、声が小さく欠席になる事もしばしば。元々、姓にコンプレックスがあって、「笹生です」と自分で口にするのも嫌だったから、今度は訂正せずに黙り込めば、周りは「言え、言え」と責めたてて、いつしかストレスから腹痛を発症するようになった。
 今日は体育があると考えるだけで、腹はゴロゴロ。腸にガスが大量発生して、それがグーッという音をたてながら上下を移動するたび、胃や腸を圧迫して強烈な痛みに変わる。トイレに行ってもオナラは出ず、便の代わりに泡だった唾液のようなものが出て、あまりの痛さに座っているのもやっとの状態。
 保健室は1人じゃ入りづらいし、トイレに行っても治らない。なのに、学校から離れた途端、急にブーブーとオナラが勝手に出だして、帰宅する頃にはすっかり良くなっているから不思議だ。

 体育以外でも、3人でいる時はいつも圭子は里奈にばかり話しかけ、笑顔も視線も彼女だけに注がれる。友達歴も仲の良さも私の方が勝るのに、里奈は誰にでも愛想が良く、私は1対1以外では言葉を失ってしまう。
 それなら、里奈1人が選択科目の違う化学で、今度は私と圭子がペアを組むと予想するも、彼女は他の友達とペアを組んで、私の存在に気付かない。いや、気付かぬふりをしている。 
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