秘密
何だろ?
ふわふわしてて気持ちいい。
何してたんだっけ俺?
…ああ、そうだ。
五時間目サボって屋上で昼寝してたんだった。
そろそろ起きないとな。
でも何だ?この頬にあたる柔らかい感覚は?
手を伸ばしそれに触ると、
「あ。起きた?佐野君?」
透き通った綺麗な声が頭の上から聞こえてきて、顔を上げると奏が俺を優しく笑って見下ろしていた。
「……奏?」
「起こそうかと思ったんだけど、気持ち良さそうに寝てたから…」
軽く頭の中を整理しよう。
俺は横になっている。
直ぐ真上に奏の顔。
頭は彼女の太ももの上。
俗に言う、膝枕と言うやつ。
確か五時間目サボって昼寝していたはず。
何故奏がここに居る?
「…今、何時間目?」
「もう放課後だよ?佐野君戻って来なかったから、様子見に来たら、まだ寝てるんだもん」
あれからずっと寝てたのか俺は。
「…何で奏の膝に俺の頭が?」
「…それは…私がここに座ったら…佐野君が寝惚けて…頭乗せてきたんだよ?」
……マジか?
何も覚えてねぇ、はは。
しかし膝枕ってホントに気持ちいいんだな?
奏の膝に頭を乗せたまま腕を伸ばし、奏の腰に手を回す。
「…佐野君?まだ寝惚けてる?」
「……多分」
「多分って…」
「……気持ちいい…」
思わず言葉に出してしまった。
それ位奏の膝枕は心地よくて、ずっとこうしていたかった。
「…佐野君、今日バイトは?」
…あ。
バイトに行かねば…
「…今、何時?」
「もうそろそろ17時」
…ヤバイ、かなり寝ていたみたいだな。
…はぁ。
起きるか。
俺は身体を起こし、両手を上げて大きく伸びをした。
「…あ。奏、ここまで登ってきたの?」
「え?…うん」
「怖くなかった?」
「ううん、高い所好きだから、平気」
そう言えば前にフェンスによじ登ろうとしてたな。
「…ここ、ホントに気持ちいいね…」
隣に座る奏の髪が、風になびき、ふわりと俺の方に流れてきて頬をくすぐる。
それを手に取り、奏の後ろに流してやり、その手をそのまま奏の頬に。
お互い見つめ合い、ゆっくりと顔を近付ける。